music return

音楽評論との付き合い方

 

 いろんな音楽評論家がいろんな音楽評論を書いているが、納得するものやこれはどうかな?というものがあり、いろいろである。それぞれの音楽に対する下地があって、その下地を含めた感性で感じたことを書いているのだから、別にそれに付いてどうこう言うつもりはないのだが、悪口ばかり書かれた文章を読むと、昔のことが思い出されて嫌な気分になる。


 昔の思い出とは、東京までベルリン・ドイツ・オペラの《マイスタージンガー》を見に行ったことがあって、結構感激して帰ってきた。それで、音楽評はどうだろうとわくわくして『音楽の友』を読んだら、ぼろくそにけなされていた。よそのオペラハウスの演出の真似だの、平凡で面白くもない舞台だった、というようなことが書かれていた。


 なんか泣きたくなった。


 そのときは、私もそんなにオペラを見てないし、他の劇場のことなんか知らない。でもね、経験の浅い人もその舞台を見てるわけ。感激したの、少なくとも私は。それをぼろくそに言われたら、何ていったらいいの?私の感性を完全に否定されているような気がして無性に腹が立った。


 以後、その評論家の言うことは信頼しなくなった。


 私も場数を踏んで、そのうち、音楽評論との付き合い方が分かってきた。それは、自分の感じたことと同じような感性を持っている人の音楽評論だけを信頼すればいいということ。他の人はどうでもいい。


 これはつまり、自分の感性を信じて、同じ感性を持つ人を探すこと。大切なのは自分の感性なんだ。


 他の人がどう言ようが、自分の感性が一番正しい。そういう自信を持つことが大切だ。もちろんそのためには場数を踏むに越したことはないけれど、聴き始めのころだって、音楽評論家の言うことが正しいわけではないことを知っておくべきだ。


 少なくとも、音楽評論家の好き嫌いに振り回されないように注意すべきだろう。


 こんな私が、音楽評論に期待するものがあるとすれば、以下のようなことだろうか。


・演奏の歴史を踏まえた今回の演奏の位置付け。
・すぐには気が付きにくい点(例えば楽譜の解釈)を指摘すること。
・最新演出のオペラならその演出家の言葉を元に演出の意図と解釈を明らかにすること。


 私は、あまり批評は読まないし、音楽的知識も少ないのに、根拠もなく勝手な感想をwebに書いている。この感想は演奏会で思ったことの記録と自己満足で書いている。もし、この駄文を読んでくださる人がいらっしゃるのであれば、こんなわけなので、あくまでも「私の感想」なのだ。あなたがどう捕らえるかはあなたの好きにして欲しい。私は好きに書く。