関西フィル第222回定演ヴァーグナー《トリスタンとイゾルデ》第二幕他:KINUZABU-Music
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関西フィル第222回定演ヴァーグナー《トリスタンとイゾルデ》第二幕他

日時
2010年7月30日(金)19:00~21:00
会場
ザ・シンフォニーホール(大阪)
指揮
飯守泰次郎
配役
トリスタン 竹田昌弘
イゾルデ 畑田弘美
マルケ王 木川田澄
ブランゲーネ 福原寿美枝
管弦楽
関西フィルハーモニー管弦楽団
曲目
ヴァーグナー作曲
 歌劇《タンホイザー》序曲
 楽劇《トリスタンとイゾルデ》第二幕
席番
3階LLD列4番
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 今回のプログラムはヴァーグナーの《タンホイザー》序曲と《トリスタンとイゾルデ》第二幕という渋いもの。特に後者はこういう曲を取り出してコンサート形式で演奏する例が他にもあるのかな?と思った。


 まず、《タンホイザー》序曲。極めて正統で、迫力が溢れ、すっきりと気持ちの良い演奏。これで木管がもっと弱音を出せたら文句ないのだが、十分に楽しめた。


 休憩後に《トリスタンとイゾルデ》第二幕。これは凄かった。とにかくロマンティック。こんな美しく悲しい演奏を聴いたことがない。前奏曲からトリスタンが現れるまで美しい上にトリスタンが現れるのをそわそわ待つ姿が思い起こされる。この音楽が官能的で艶があってもうメロメロ。昼と夜の二重唱も甘く切ない。そして愛を誓い合う二重唱では愛の死のメロディが効果的に盛り上げる。そしてマルケ王の歌の時は静かに歌を支える。


 歌手はブランゲーネの福原寿美枝さんが一番印象に残った。すこしヴィブラートがあるが力強くて芯のある美しい声。次はマルケ王の木川田さん。ずっしりと重いマルケ王。トリスタンの竹田さんは最初はもうひとつだったが、後半は持ち直して凛々しいトリスタンだった。イゾルデの畑田さんは声は悪くはないが、絶叫調になるのが残念。日本人のソプラノがヴァーグナーを歌うと大抵絶叫調になる気がする。まあ、席が悪いので正当な評価はできないが。


 今回の演奏会の功労者は飯守さんだろう。正統的なヴァーグナーで先端の音楽とは言えないかもしれないが、聴いていて美しくうっとりして本当に気持ちよかった。砂糖のように甘い《トリスタンとイゾルデ》の愛のひとときを味わえた。