Vivava Opera Company ヘンデル歌劇《ロターリオ》:KINUZABU-Music
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Vivava Opera Company ヘンデル歌劇《ロターリオ》

日時
2010年9月5日(日)15:00~18:40
会場
アイフォニックホール(伊丹)
指揮・演出
制作
大森地塩
曲目
ヘンデル作曲 歌劇《ロターリオ》
配役
アデライデ 端山梨奈
ロターリオ 福島紀子
ベレンガーリオ 竹内直紀
マティルデ 名島嘉津栄
イデルベルト 永木るり子
クロドミーロ 迎 肇聡
管弦楽
Baroque Ensemble VOC
席番
1階I列22番
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 2004年に始まり、2005年から通っているVOCのヘンデルの年一回のオペラシリーズ。私に取っては今や毎年の大きな楽しみ。今年は《ロターリオ》。


 会場に入ると、今年はオケが舞台下手で、トランペットが入って、舞台装置も少し複雑になった。もしかすると寄付が入って余裕ができたのかな?


 《ロターリオ》のあらすじを、ざっというと、
1.イタリア王妃アデライデは夫がすでに殺され、スポレト公ベレンガーリオの手にある。
2.アデライデを救うため、ゲルマニア王ロターリオが立ち上がる。
3.ベレンガーリオの息子イデルベルトもアデライデを好きだが、ベレンガーリオのやり方には反対する。
4.ベレンガーリオはアデライデを人質にパヴィア城に立て篭もる。
5.ベレンガーリオの妻マティルデはアデライデを殺そうとするが、イデルベルトが助ける。
6.ロターリオがパヴィア城に入城し、ベレンガーリオはアデライデを開放する。
7.ロターリオは皆を許し、ハッピーエンド。


 舞台上では序曲の間イタリア王が毒殺されるシーンが影絵で示されていた。あとの演出はいつものとおり、舞台のスクリーンにその時々の情景や心理にマッチした映像が投影される。


 オケは、各幕とも最初はピッチがあっているけれど、途中からずれる毎度のパターン。幕の途中でもいいから調律したほうが絶対にいい。演奏自体は特にだれたところもなく、不満には感じなかった。


 歌手は、アデライデの端山さんがもう最高!極めて美しい声のソプラノで、アジリタもうまいし、ここぞの高音もバッチリ決めてくれる。こういう人にダ・カーポ・アリアを歌わせると、虜になる。


 次は、イメーネオの福島さん。ぶっとい声のメゾで、男性役でも全く違和感なし。声量もあるし、音程も技術も抜群。ヘンデルの英雄役でこの人程の適役はすくないのでは?


 3幕最後に端山さんと福島さんの二重唱があるが、極めて美しくて鳥肌が立った。この時間がずっと続いて欲しいと思った瞬間。


 次は、クロトミーオの迎さん。この人のバスは安定して聴きごたえがあるけれど、今回はさらに磨きがかかって、すごい迫力。この役、地味な役名ながら結構いいアリアがある。


 他の歌手はみんな、雰囲気は役にあっていたが、音程が不安定だし、アジリタの技術がもう一つ。ベレンガーリオの竹内さんは迫力はすごいけど、もう一息。実に惜しい。


 最後の合唱で、出演者が歌わないので何故かなと思っていたら、始まりのように皆で影絵になって乾杯をする。でもマティルデだけが、毒で死んでしまう。字幕には「不義者は許されない」といったような言葉があった。まあ、分からんでもないが、どうせなら、クロトミーオが全員を殺す設定のほうが面白かったんじゃないかな。


 今年もヘンデルのオペラを面白く見せてもったた。段々レベルが上がっている。続けるって重要なんだ。来年はロンドンでの音楽祭にヘンデル以外のオペラを世界初演すると意気込んでいる。だから、来年の日本での公演はなし。ちょっと残念。