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HIS30周年

 

 旅行会社のHISが30周年だそうだ。時間が経つのは早い。


 私がHISを初めて利用したのは23年前の1986年。中国旅行に行った時である。中国への航空券は当時は格安航空券があった訳ではないので、往復飛行機ならどの旅行会社でもよかったのだが、鑑真号という船を帰りに使う予定だったので、大学に撒かれたチラシに鑑真号を使った格安中国旅行を宣伝していたHISに行って航空券と船券を買った。


 当時は、阪急梅田駅の北のはずれのビルの2階に事務所があって、他のお客さんも少なかった。そのためか大変親切に旅行のアドヴァイスをもらえた。


 翌年に初めてヨーロッパに行った時もHISを使った。大韓航空の南回りチューリッヒ行きで、片道22時間かかった。当時はHISでこの便を使うことが一番安くヨーロッパに行く道だった。


 新婚旅行もHISだった。それ以降しばらくはHISを使った。支店も増えて、どんどん大きくなっていった。それでも、店員さん自体が旅行好きで、チケットの発券の合間に旅行での面白い話を聞けるのが楽しくて、この旅行会社を使っていた。


 ところがある時点から、店員さんの質が変わってきた。特に旅行好きというわけではないが、大手の就職先という感じで事務的に窓口業務を勤める人が増えてきたのである。旅行の話も聞けないし、こちらの現地情報に関する質問にも満足に答えられない。これではこの旅行会社にお願いする意味もないと、HISを使わなくなった。


 それで他の旅行会社にお願いするようになったが、長くは続かなかった。担当してくれて顔を覚えてくれた人が転勤になったからである。旅行会社というのはやはり人である。信頼できる人が見つからなければ、その旅行会社に旅行の手配をお願いするのはどうしても躊躇してしまう。


 それで、最近は、もっぱらネットで航空会社にアクセスし直接航空券を手配するようになった。ネットでホテルも手配できるし、全て個人責任ではあるが、これまで問題が起ったことはない。


 格安旅行会社としてのHISはまだ意味を持っていると思うが、旅行手配会社としては、このインターネット社会になって、意味を失っているのではないかと思える。昔の旅行好きの集まり、といったいい雰囲気が懐かしくて仕方がない。(2009.11.17)