モンセラート・カヴァリエ ソプラノリサイタル
カヴァリエは2週間前に足に怪我をしたとのことで松葉杖をしており、また、喉の方も具合が悪いようで合間に何度も咳をしていました。こんな大変痛々しい状況にもかかわらず、終始笑顔で最後まで声を出してくださいまして、アンコールまでしていただきました。次回には万全な状態であの美しい声を響き渡らせている姿を拝見したいものです。
さて、カヴァリエの方はこんな状態で、必ずしも満足できるものではなかったのですが、意外だったのは、伴奏を勤めた京都市交響楽団の演奏です。私は過去に一度だけ京響の定期演奏会に行ったことがある程度でほとんど聞いたことがないので、こんなことを申し上げるのは大変失礼なのですが、演奏レベルについては日本のオーケストラの中でもそんなに上手いほうではないという認識を持っていまして、今回の演奏会でもカヴァリエの邪魔をしなければいいがなどと思っていました。しかし、演奏会が始まってみると、第一曲目の歌劇「運命の力」序曲は弱音から強音まではっきりした力強い演奏で、それ以降のカヴァリエの伴奏もしっかりと勤めましたし、また、後半のサルスエラ「ルイス=アロンソの結婚式」間奏曲では、派手な曲を最後まで崩れることなく大音響を響き渡らせてくれまして、カヴァリエ以上の喝采を受けておりました。
ということで、今回のコンサートでは、京響の実力を知る機会を持てたことが一番の収穫でした。今回の演奏がよかったのは、もちろん指揮をしたホセ・コラードの統率力も有るでしょうが、やっぱり京響自体の実力が向上しているのは事実でしょう。今の京響の常任指揮者(?)は井上道義氏ですが、これは氏の鍛え方の成果なんでしょうか。京都テレビで放送されている「京の響き」という番組で見る限り最近は難しい曲を選んでやっているようですので、このあたりも影響しているようにも思っています。
それにしても、最近は日本の一部のオーケストラのレベルの向上が著しいように思います。NHK交響楽団も「N響アワー」で見る限り以前より大変上手になっているように思いますし、関西でも、大阪センチュリー交響楽団は初めて聞いたときは思わず下を向いてしまう感じだったのがその1年後は見違えるようなレベルになっていました。もちろん、以上は私の日本のオケを聞く数少ない機会の中での感想ですので、ほかの方は別の印象を持っておられるかもしれません。でも私には地元のオケのがんばりに今後も期待したいと思っています。