岩田達宗プロデュース オペラ《ランスへの旅》 2/2
会場に入ると舞台は、前方にオーケストラ、オケ後方中央にフランスの国旗を描いた階段を置き、舞台とパイプオルガン周辺のバルコニーを行き来できるようにしているようでした。
真っ暗になって指揮者が現れると、序曲ですが、早くもなく、遅くもない、中庸のテンポ。私としては、もっと早くてもいいかなと思いました。
でも、何故このテンポなのかは、歌手が出てきてわかりました。 早く飛ばすと、ロッシーニの早口の歌が歌えない人が多いのです。まあ、仕方ないかな。
聴いてみてわかりましたが、このオペラは、各人2,3のアリアしかなく、全歌手が均等に上手に歌わないと舞台が成り立たないのですね。そういった中では、何人か?と思える人もいましたが、 皆さん大いに検討していたと思います。
私が特に気に入ったのは、まず、ドン・プロフォンドの久保田真澄さん。大変立派な声で、声量もあり、なんと言っても早口のアリアを完璧に歌っていたのは、すばらしいものがありました。また、コルテーゼ夫人の石橋栄実さんがすばらしかった。美しい声で、しっかりした歌を歌ってくれました。美人でしたしね(^^
でも、最高にすばらしかったは、コリンナの佐藤美枝子さん。彼女の声を聴くのは初めてでしたが、一点の曇りのない、見事な美声を、これでもかと言う大変高度なテクニックで歌い、魅了してくれました。前半3曲目では、客席後方の入り口から歌い、美しい声に聴き惚れましたし、最後の歌合戦での、シャルル10世をたたえる歌では、次から次へと押し寄せてくる美しい声の技にもうメロメロでした。
演出は、緞帳のないいずみホールですから、できることは限られますが、2階の上手下手、1階の下手、1階後方の客席の扉を出入り口に使って、うまくまとめてました。音響のいいいずみホールですから、声もよく通るし、オケの音も健闘してました。指揮は、やっぱりもっと早い方が私好みですが、何とかセーフというところかな。指揮者は歌手に合わせて、しっかり振ったと言うところでしょう。
それにしても、全体的にすばらしい公演を楽しめました。佐藤美枝子さんだけでも凄いけれど、それだけではなく、全体のレベルが十分高かったです。よくこれだけ歌手を集めましたよね。帰りは雨で寒かったですが、そんなことは関係なく、 とても気分よく帰れました。またこんなオペラが楽しめたらいいな。