小澤征爾音楽塾オペラ・プロジェクトX
フンパーティング 歌劇《ヘンゼルとグレーテル》2/2
管弦楽はさっぱりでしたが、歌手は本当にすばらしい。キルヒシュラーガーは太い声で少年を歌い見事。対するティリングも大変美しい歌声で、やさしく、妹にぴったり。一幕の兄妹の二重唱は大変きれいでそんな二重唱が満載で夢心地です。グレーテルの踊りは今でも耳に残っていて、口ずさんでしまいます。
お母さんのプロウライトはちょっとヒステリックで、私にはもうひとつ。お父さんのホルツマイアーは能天気に明るい声の図抜けて大きなテノールで、気持ちよく聴けました。
2幕最後のヘンデルとグレーテルによるオヤスミ前の二重唱は、大変すばらしくて天にも上る心地でした。こんな歌を聴けるなら、いつでもホールに通うぞ。 休憩後3幕は、魔女のクラークが最高にすばらしかった。彼が奇声発しながら面白く歌いまくる。そのせいか、オケも雄弁になったように感じました。すばらしい歌手だと、オケまで引っ張るのかもしれません。
最後は助けられた少年少女たちと歌い踊るわけですが、これが全然合わない。見た目も情けないし、耳もふさぎたくなるほどです。私が思うに、日本の少年少女合唱団とは、唱歌を主に歌うものでなので、オペラの個性的な声とは違って、均質的で没個性的な歌を求められます。そういう合唱はオペラにはあわない。小澤氏はその点でオペラの分かる合唱指揮者をつれてくるべきだっただのでしょう。
さて、演出に付いて。ザ・ダラス・オペラがオリジナルだそうですが、出来事をそのまま舞台にした感じで、面白みはありませんでした。巨大なお菓子を開けばそこにオーブンが隠れているぐらいでしょうか。(本当なら、お菓子の家に入った子供をお菓子の家ごと丸焼きにする、はず。)
まあ、日本での公演ですから、分かりやすい演出を選んだのかもしれませんでも、最近は、いろいろ見方を変えた演出をすると聞きます。私は、どちらかと言うと演出でも驚きのある公演を望みます。
総括すると、歌手は大変よかったけれど、オケや演出、少年合唱が悪くて、このオペラが持つ雄大で神秘的な雰囲気を十分に味わえませんでした。これは、管弦楽が学生中心というのもありますけれど、指揮者でプロディーサーでもある小澤さんの責任でしょう。学生にオペラを体験させたいだけなら、歌手もレベルを合わせて他でやって欲しいと思いました。歌手もかわいそうです。
やっぱり小澤さんはあかんわ~