ディドーネの嘆き ロベルタ・マメリ リサイタル:KINUZABU-Music
music-detail return

ディドーネの嘆き ロベルタ・マメリ リサイタル

日時
2010年2月26日(金)19:00~
会場
青山音楽記念館(京都市西京区)
ソプラノ
ロベルタ・マメリ
キタローネ
つのだたかし
ticket
曲目
G.F.サンチェス 「他の男が暴君のように」
        「嘆きの言葉を」
G.カッチーニ 「戻っておいで、坊や」
       「愛の神よ、何を待っているのです」
       「いとしい人よ、さようなら」
G.G.カプスベルガー(キタローネ) プレリュードI/パッサカリア/ガリダリア/コレンテ
S.ディンディア 「ディドーネの嘆き」
T.メルラ 「さあ、眠りなさい」
G.G.カプスベルガー(キタローネ) トッカータ/ピーヴァ/コラシオーネ/カナリオ
C.モンテヴェルディ 「ああ、私は倒れる」
          「あの高慢なまなざし」
          「さようなら、ローマ」
B.ストロッツィ 「恋するヘラクレイトス」
(アンコール一曲)
 

 雨の降る日にこのホールに来るのはつらい。上桂の駅から歩く道は狭く交通量も多いので、はねる水を避けながらの道のりになるからです。それでも出かけたのは、ロベルタ・マメリの歌をどうしても聴きたかったら。彼女の歌は2007年秋のラ・ヴェネシアーナの公演で、すばらしい歌を聴き感激したのです。


 客席は定員200名の小ホールですが、8割ぐらいの入り。舞台上ではつのだたかしがずっとキタローネの調律をやっていました。


 時間になり真っ青なドレスのロベルタ・マメリが現れました。一目見て、こんなに大きな体格だったかなと思いました。


 リサイタルが始まると、第一声から圧倒されました。会場の色が一瞬で変わってしまう存在感。弱音では繊細で、強音では決して絶叫調にならず、全てが彼女のコントロールの中にありました。



 といって、無機質では決してなく、激しい感情のほとばしりがあちらこちらであり、ただでさえ体格のよいマメリがさらに大きく感じられました。それにしてもノンビブラートの声の伸びがすばらしく、これほど気持ちのよい歌を聴いたのは久しぶりです。


 一番すごかったのは、後半に歌ったモンテヴェルディのアリア群。モンテヴェルディの時代を超えた音楽の力もありますが、迫力満点で、これを十二分に表現できるマメリの歌に酔いしれました。


 つのだたかしのキタローネは、無難ですが、マメリの歌との相性はよかったと思います。一曲ごとに調律していたので、大変な楽器なんだなと思いました。


 本当によいリサイタルでした。今年もこの調子でよい音楽を楽しみたいです。