大阪センチュリー交響楽団第157回定期演奏会
ハチャトリャン作曲 ヴァイオリン協奏曲
マルティヌー作曲 交響曲第3番
あまり聴くことのない曲が並んでいて面白そうだと思ったので、何とか時間を作って行ってみた。今回も当日券で入場。全体では8割ぐらいの入りだったかな。
1曲目の「ルスランとリュドミラ」から勢い全開。気持ちのいいほど早いテンポで、これだけの演奏をする能力の高さを実感した。迫力もいいし、勢いがほとばしる弦の動き。耳の贅沢とはこのことか。
2曲目、ハチャトゥリアンのバイオリン協奏曲。協奏曲なのに一曲目より編成が大きくなる。初めて聴く曲だが、ソリスト、弦、木管、金管、それぞれの掛け合いが面白い。独特のメロディだが、快活で爽やか。
ソリストはこれぐらいが限界かな。もう少し、音を出して欲しかった気がする。
休憩後に3曲目マルティヌーの交響曲第3番。最初から重いテーマ。まるでショスタコービッチの8番を聴いているような気がした。ピアノ音の重い響きがずしんと来る。でも、ミュージカルを思わせるリズムが時々出てきて、マルティヌーがアメリカ滞在中に書いたと解説に書いていてあったことを思い出す。
聴いていて思ったのは、前半に比べて、曲に対する熱意の差があること。オケは前半より確実に気合を入れていて、細かいところまで丁寧にかつ大胆に演奏していた。一番驚いたのは弦の厚み。これまではどうしても弦の管に比べて弦の音の小さいことに不満を持っていたのだが、この曲ではまるで違った。
第3楽章は少し明るくなって、金管が効果的に使われ、最後には最初の重さは残っているが、希望が見えた。こんなところもショスタコービッチの8番のようだ。
今回の演奏会はどの曲もよかったけれど、マルティヌーが大変すばらしかった。大阪センチュリー交響楽団の私のイメージは上手いオケだけれど、重厚さには欠ける、というもの。そりゃ、55人ぐらいのオケだから重厚さを求めるのは酷だけれど、曲によっては不満に思うのはどうしようない。
でも、今回のマルティヌーは全く違った。これは指揮者の思いいれの差ではないか。指揮者スワロフスキーはマルティヌーの故国であるチェコの指揮者である。作曲者への思い入れの強さ、共感があり、それを受けてオケもいつも以上に強い意識を持って演奏会に向かったように私には思えた。
やはり、指揮者によって、演奏は大きく変わる。これがあの団体の音か?とびっくりするくらいに変わる。それを改めて思い知ったいい演奏会だった。