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カメラ遍歴

 

 私がカメラを初めて持ったのは小学校5年生の時である。幼馴染がSLに興味を示し、カメラで撮影しに行くようになり、私も一緒に行きたかったからである。


 私の周りは当時まだSLが一杯走っていた。D51,D60,9600,8620,足を延ばせば、C11、C55、C57、C61も現役だった。親にせびって買ってもらったのは、CANONET28来た写真は、学校で先生や友達に見せて、有頂天だった。その時の写真が残っているのかよく分からない。親ももう忘れているだろう。出てきたら大変貴重な写真もある。


 小学校を卒業するとSLも廃止され、撮影対象もなくなり、また体育系クラブ活動で忙しく、カメラを使うことはな くなった。


 再びカメラを使うようになったのは大学生になってからである。大学では、鉄道研究会に入っていた。私はいわゆる乗り鉄で列車に乗ることが好きで、鉄道写真には強い興味はなかったが、どこに行ったかは写真に撮りたかった。撮影対象は駅舎や駅名板である。そこで、カメラに詳しい友人と中古カメラを買いに行った。38,000円でNikon FM本体と50mm/F1.4Asのレンズを購入した。オードフォーカスはまだなく、露出のオートもないフルマニュアル機であるが、憧れの一眼レフを買えてまた有頂天になった。


 このカメラに白黒フィルムを入れて、写真を取りまくった。もし実家に残っていれば、相当数の駅舎や駅名板の写真が残っているはずである。


 鉄道旅行に行くうち、値段の安いユースホステルに泊まるようになったが、すると観光地にも立ち寄るようになった。そして友人にフィルムもコダクロームというリバーサルフィルムを薦められるようになった。ちょっと高いが、発色がすばらしいフィルムである。それでコダクロームを主として使うようになった。しかし、リバーサルフィルムは露出がシビアである。高いフィルムで下手な写真をたくさん作る結果となった。でも、まれに出来る美しい写真にこのフィルムを手放せなくなった。


 そして外国に行くようになった。中国に行き、東欧に行った。当時の共産圏でその時にしか体験できないことをしてきたと思っている。面白い写真も取れたと思う。これらはある程度整理されているが、フィルムスキャナに読み込むにはまだ時間がかかるだろう。


 会社に入ると、音楽を聴くためにヨーロッパに行くことが多くなった。何かあればヨーロッパで、写真もヨーロッパの写真が多くなった。しかし、そのうち余り写真を撮らなくなった。音楽、特にオペラにのめりこんでいったからだと思う。カメラは押入れから出ることはなく、余ったフィルムも有効期限を過ぎてしまった。


 そして時代はデジタルカメラ全盛期になった。

 高価だったデジタル一眼も20万円を切り、画素数もフィルムとそん色ないまでに増えていった。でもデジタル一眼を買おうとは思わなかった。理由はその大きさである。デジタル一眼レフカメラは、フィルムの部分に撮像素子があり、固定部とともにフィルムとは比べ物にならないほどの厚みを必要とする。さらにその裏に液晶画面が付いているから、フィルムカメラに比べると大変大きくなってしまう。これまで持っていたNikon FMは小型堅牢を旨としていて、それに比べたら大きいし、見た目も安っぽく見えた。


 そんなとき、PanasonicからLUMIX DMC-LC1が発売された。ミラーのない一眼で小さいし、レンズもしっかりしている。これは買わねばと、発売と同時に購入した。写りはシャープでその辺のデジカメとは一味違い、満足した。一点不満があって、ピントが合わせにくいことである。ファインダーは光学式でなく、23万画素LCD。拡大機能もある が、正確なピントあわせがうまく出来ない。もちろんオートフォーカス機能もあるが、私は余り当てにしてない。


 そういう不満の中で発表されたのが、EPSONのR-D1である。世界初レンジファインダー式デジタルカメラで、露出以外はフルマニュアル、ライカのレンズも使用できると言うのが大きな売りであった。このカメラもデジタル一眼より小さい。DMC-LC1よりも小さい。しかも評判の高いライカのレンズも使えるとあって、ライカのレンズを持ってなかったが、少々高いのを思い切って、ボーナスが出る前に買ってしまった。これ以降、ライカの高いレンズが増えていくのである。


 このカメラは高級感にあふれ、デジカメなのに巻き上げレバーが付いている。実際は巻上げではなく、シャッターチャージレバーであるが、遊び心があっても面白い。ライカのレンズも少しずつ増えて、デジタルカメラで撮る写真の数も増えていった。


 ただし、このカメラの最大の欠点は、レンジファインダーの精度である。レンジファインダーとは3画測量の原理でカメラから対物までの距離を測定する方法だが、調整が必要で、使っていくとどんどん狂ってくる。特にこのカメラは調整が狂いやすく、何度も自分で調整したが、十分に満足できなかった。


 そういうときに、LEICAから、M8というデジタルカメラが発売された。レンジファインダーで、他のフィルムカメラと形状が大きく変わらないという画期的なものだ。大変高価なカメラだが、思わず、発売日と同時に購入してしまった。  小さくて、使いやすく、性能のよいLEICAのレンズも使える、そして何より、レンジファインダーの精度がよい。今はこのカメラに夢中である。後継機種やアップグレードプログラムの誘いもあるが、今はオリジナルのままで使っている。問題は、このカメラになってレンジファインダーの精度に問題がなくなったために、精度の必要な大口径のレンズを買ってしまいたくなることである。このようなレンズは概して高価である。購入を我慢することが、今の私の大きな悩みである。


M8