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上村松園展@京都

 

 京都国立近代美術館で開催されている上村松園展に行ってきた。


 ご存知の方のように、上村松園は日本画の美人画の大家。奈良の松伯美術館が多くの画を持っていて、何度か見たけれど、今回の目玉の「序の舞」は下書きを見たことがあるだけで、芸大所蔵でなかなか見る機会がない。それが、京都で見られるということで、早速見に行った。


 会場の京都国立近代美術館に行き、3階の会場に行くと、目の前にどどーんと「序の舞」。メインが最初って何?と驚いた。まあ、そんなに人もいなかったので、ゆっくりと見た。「序の舞」をしばらく見て、予想通り力強い画やなと最初は思った。


 それから他の絵も見た。


 いつもの展覧会なら、見たいものだけ見て他は素通りに近いのだが、今回は会場が空いていたのと、最初から結構ボリュームのある日本画がでていたので、最初から最後までじっくり見た。


 松園は10代の頃からしっかりとした日本画を描いているのに驚いた。


 歳を経るごとに輪郭線が単純になり、ポイントへのこだわりが際立つようになる。結った髪の濃淡、着物や帯の見せ方、かんざしの色使い、スダレ、蚊帳、服などに透けて見える着物の柄などなど。着物は簡素なのに、袖や襟元から見える襦袢(でいいのかな?)の赤い色と柄の美しさ。思わずうっとりしてしまう。


 松伯美術館で何度か見た画も多かったけれど、今日見た印象はまた違ったものになった。


 一週回って最後に再び「序の舞」。他の絵をしっかり見てきたためか、この絵の印象が少し変わった。単純な線に縁取られた着物、美しく華やかな帯、凛とした目、親指を立てて握られた手。強い意志を持った女性の美しさ、強さがにじみ出ていた。色彩的にも、単純なようで、随所にこだわりがあって奥が深い。


 遠くから全体を見るだけでは不十分で、近づいてディティールをもしっかり見るべき画だ。


 そして、他の絵は女性の奥ゆかしさをメインにした絵が多かっただけに、この絵の女性の芯の強さのインパクトはとてつもなく大きい。


 今回、ゆっくり見ることができて本当によかった。最初に「序の舞」を見て、松園の絵の変遷をたどった後に再び「序の舞」を見て、改めてこの絵の凄みを感じることができた。いい展示会だったと思う。


 ただ、この上村松園展では、展示換えがあり、「序の舞」は途中で展示されなくなる。ご覧になる予定の方はご注意を。
(2010.11.04)