第62回正倉院展2010
今年も正倉院展に行ってきた。
皮の箱に漆を塗って外側に銀泥で模様をつけたよくあるパターンの御物。模様が細密で、銀泥に漆の赤が染みてとても綺麗。なかでも鏡で見る裏側の模様の美しさはが最高。
大きな藍染の反物に白い雲様の文様が入ったもの。極めておおらか。目を留める人は少ないけれど、私は正倉院ならではのすばらしい宝物だと思った。今回の宝物の中では、私はこれが一番好き。
真鍮色の水差し。綺麗な形、適度な大きさ、顔のワンポイントがキュート。形だけで勝負できる逸品。
こんなぼろぼろの上着に綺麗な絵が残る。裏側の絵の美しさといったら、この世のものとは思えない。こういうものが現代まで残ってくれていると事を心から感謝したくなる御物である。
でかい!そこに細かい絵がちりばめられている。見ていて思わず顔が緩んでしまう。
今年の目玉の一つ。文様がきれいに残ってすごく美しい。まあ、銀の細工物を仕込んだ箱の漆を削って文様を浮かびだしたものだから文様が綺麗に残る確率は高いのだが、思わず見とれてしまった。
黄色く染められた絹の反物。使われた形跡がなく、色もあせてない。ビックリしたのは縁。全く乱れず見とれるほど美しい。虫に食べられることもなく、痛みが全く見られない。1000年以上経てこんなに綺麗に残っているのは奇跡に近いと思う。
麻紙の色見本。5色の麻紙が数枚組み合わされた巻物。ピンク色の宝物なんて初めて見た。それもきわめて美しい。横から見たらまるで虹色のバームクーフェン。58-2の色のあせ方(と言ってもこちらも美しいが)を見ると、58-1の鮮やかな色の美しさも奇跡に近いのではないだろうか?
(2010.11.07)