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1986年の中国旅行 1/11

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1.上海到着


 1986年、大学院1年の春に中国に一人で行った。初めての海外旅行である。その年の初めに個人旅行が大幅に緩和され、いろんなところに許可書なしにいけるようになった。とりあえず上海に渡り、その先は上海で考えたらいい、ぐらいに気楽に行った。期間は約一ヶ月。この間に何ができるか、心配もあり楽しみでもあった。


 まず、飛行機で上海に渡った。まだ虹橋空港のころである。上海市街に向かう方法が分からず、うろうろしていると、同様にうろうろしている日本人学生の女性がいたので、声をかけ、一緒にタクシーに乗って行くことになった。たくさんの車待ちをしている人の中に混じって待っていると、私たちの前にライトバンの車が止まって、手招きしている。乗っていけ、ということらしい。それで乗ってしまったのがまずかった。上海中心部の和平飯店までお願いしたが、途中で運転手さんが私に紙を渡した。それには、和平飯店まで40元と書いてあった。「地球の歩き方」によると、正規のタクシー料金は11元らしい。ちょっとぼりすぎだと思ったので、なんとか二人で懇願して20元にまで負けてもらった。それでも、一人でタクシーに乗るのと同じ料金である。最初から失敗してしまった。


 部屋はドミトリと言って、ひとつの部屋に5台ほどのベッドがある相部屋である。もちろん男女は別々。荷物を置いて落ち着いたら、同部屋の人が夕食を食べに行こうというので、付いていくことにした。飛行場から一緒にぼられたおねさんも誘った。上海初めての食事は、小龍包だった。美味しかったが、中国醤油の酸味にちょっと付いていけないものを感じた。これから約一ヶ月、このような食事で生活するのである。


上海

 翌日は、まず、帰りの船便を飛行機に変更する手続きをした。両親が補助してくれて、帰りも飛行機で帰ることが出来るようになったためである。まず船便のキャンセルをしたが、ここでは証明だけで、船賃は帰ってから旅行会社を通じてやることになった。キャンセルしたら船賃が戻ってくると思っていた私は、ちょっと金銭的にぎりぎりになったな、と困惑した。でも仕方がない、切り詰めよう。

 
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