ベルリンドイツオペラ来日公演タンホイザー 3/3
そういった意味で、逆に違和感があったのはヘルマン役のサルミネンです。張りのあるしっかりした声で歌っているのですが、私には、ちょっと裏があるように感じられてしまって誇り高い領主といったイメージよりはちょっと小人ぽくて、ダーラントにぴったりと思えました。
#かみさんに言うと、よっぽど変な役で聴いたことがあるんじゃないか?と言われてしまいましたが(^^;
エリーザベト役のヨハンソンは声、容姿ともによく満足できました。これに、一声とともに華やかな雰囲気が醸し出されたら申し分ないのですがそこまでは求めるのはちょっと酷ですね。
ヴェーヌス役のカラン・アームストロングも声はいいですが、足が網タイツのあの服は恥ずかしかったみたい。1幕のカーテンコールでは常に足を隠そうとしてたように見えましたが気のせいでしょうか(^^;
歌手陣は、ほかの詩人を含め総じてよく、昨年の「ワルキューレ」に比べると声も心地よいほどよく聞こえ、オケと合わさっても随分と聴きやすかったのですが、これは2階中央の7列目と1階中央20列目という場所の差なんでしょうかね。
古いホールは場所によって音がぜんぜん違うというのはよく聞きますし、私も実際にウィーン国立歌劇場であまりの違いに驚いたことがありますが、これほどとは。やはり裏があるのかしら・・・このあたりは、NHKホールのベテランの方にお伺いしたいものです。
さて、こんなことを考えているとすぐに3幕も後半になり残りもあとわずか。再びヴェーヌスが出てきて迷えるタンホイザーを誘惑しますが、エリーザベトが死んで奇跡が起こり「私の負けね」とヴェーヌスが舞台後ろへ下がると、突如、後方からの強い光に照らされた合唱団が舞台後方に現われ舞台前面中央で倒れているタンホイザーに向かい「タンホイザーは奇跡により救済された!」と合唱しました。この部分は「ああ救済されたんだ!」と実感でき、ジーンときました。カーテンコールでフリードリッヒが出てきたときぶーと叫ぶ一団もいましたが、少なくとも最後の部分については大変よかったと思いますよ。
この演出ではコロが舞台上で書く文字がkeyになってまして、プログラムによると「私はタンホイザーにはまだやり残したことがある」というワーグナー自身が述べたとされる言葉を舞台上のタンホイザーと同一視して構成したようですね。となると、このタンホイザーはワーグナー自身を表しているということのようですが、最後のこのシーンはもしかしたらフリードリッヒのワーグナーへの賛辞だったのかもしれません。
全体的には、オケのまずさはありましたが、まあ、よくできた舞台だったのではないかと思い、満足しました。
カーテンコールはコロが日本で最後のオペラ公演ということで花束贈呈や、何やらですごく長く盛り上がりました。でも、これでコロのワーグナーが聴けないと思うとほんとに残念ですね。次のワーグナーテノールの出現を願ってやみません 。