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ベルリンドイツオペラ来日公演タンホイザー 2/3

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 弦はまずまずなんですが、それ以外はかなり落ちる。特に木管が悪いですね。音色は悪いし、音もよくはずれる。当日の新聞記事でオーボエの主席に日本人が就任したと知りましたが、彼には悪いですがこりゃこれからが大変だなあと思いました。


 しかし、木管というのはオケの要なんですね。おかげでよく分かりました。

 指揮の方は前奏曲は遅目でジックリと振ってました。それでもいらいらするほどでもなく、出だしはまずまずといった感じです。全体では遅目の分歌手は大変そうでしたが、やるときはやるという感じで、オケにははじめの音であきらめたせいかその後はそれほど不満には感じませんでした。


 舞台の方は前奏曲開始と同時に幕が開きはじめは真っ暗でよくわからなかったのですが、徐々に明るくなってきて傾斜させた舞台上にガラスのをいくつも立てかけたものでした。全幕でも大きな装置は1幕のヴェーヌスベルグの寝室?と2幕の広間の入り口ぐらいで、バックも白い布に風景を投影する程度のものと、かなり簡素な印象ですが、そんなに悪くはないと思いました。


 面白いなと思ったのは2幕はじめのシーンの場を広間の入り口の前としている点と、やはり2幕の後半で舞台後ろがせり上がって群集が上から下のタンホイザーを非難するシーンです。


 前者は考えてみれば当然でああっと納得できましたし、後者はNHKホールでもこんな芸当ができるのかと感心しました。


 歌の方は、タンホイザー役のコロは声は良く出ているのですが公演の疲れか、はたまたお年のせいか、肝心の高音になるとかなり苦しいようで、伸ばしてほしいところですぐに切れたり声が小さくなっていました。コロは、今まで何度か聴いたことがありますが、一番状態が悪かった様に思います。コロの引退は非常に残念ですが、やはり仕方ないのでしょうかね。


 よかったのはヴォルフラム役のヴァイクルです。1幕後半で第1声を聴いてうっとりしてしまいました。あの明るく輝く声はザックスやヴォルフラムといった善人役で十二分に発揮されるのであって、「オランダ人」のような影のある役では、ちょっと感じが出ないですよね。ですから3幕の「夕星の歌」は十分に楽しめました。

 
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