ザクセン州立歌劇場オペラフェスティバル公演《タンホイザー》 2/2
あっ、そうそう、ここの音楽を聴く限りパリ版でした。バッカナールの長い音楽の間はずっと上記のような光景でバレーはありませんでしたが。
タンホイザーのKRUSEは小太りの小男で、外見でかなりハンディを背負ってますね。声はちょっと不安定な感もありましたが、声量は豊かで最後の「ローマ語り」までそこそこ出てました。対するヴェーヌスはちょっと弱い。
演出はちょっと変な感じで、ヴェーヌスベルグが消えるところではお椀が割れるだけで、女性たちは倒れたまま舞台にいて、牧童は蝶々か妖精か大きな羽を背中につけ、ハートの矢のようなものを持ってました。
また、巡礼は、割れたお椀の中を通り、ヴェーヌスベルグを隈なく見物して去っていきました。巡礼はすべてを知っているという設定でしょうか?
巡礼の合唱の後にやっとお椀や女性が消えて領主ヘルマンの一行が現れました。ここで、ヘルマンのVOGELとヴォルフラムのBAERの声にうっとり。 VOGELは領主にふさわしい高貴な声で魅了してくれましたし、BAERに至っては明るいが憂いを帯びた深い声がオケの深い響きと溶け合い歌うたびにジーンときてしまいました。
この二人の声を聞けただけでもすばらしいことなのに、オケがドレスデンシュターツカペレとは何と言う贅沢でしょう!
あと、エリーザベトのHERLITZIUSもわずかに音程がずれる事もありましたが、きれいな通る声で安定した歌唱を楽しめました。
2幕以降の演出はそれほど違和感もありませんでしたが、3幕の巡礼の扱いがちょっと変でした。舞台の上に左右から駆け込んできて一斉にこちらを向いたかと思うと、合唱をはじめたのですが、全員が目に ゴーグルのようなものをつけていました。この辺はちょっと???プラグラムはドイツ語だし・・・
最後は剣を腕に突き刺して自殺したエリーザベトのうえに、同じ剣で喉を突き刺してはてるタンホイザーが重なった後、すべてを見取ったウォルフラムが舞台後方の階段を上っていき幕となりました。この時のオケの音がまた最高!深い音の咆哮が続き、最高の気分。このまま永遠に続いてほしいと願ってしまいました。
当然ながら、観客は大受け、歌手もVOGELとBAERへの拍手が一番多かったような。
何にしても最高のタンホイザーです。演出はちょっと?ですが、その他はもう言う言葉が見つかりません。