ザクセン州立歌劇場オペラフェスティバル公演《アイーダ》 2/2
そして、ラダメスに指揮官を命じる場面ですが、半袖の白い軍服に機関銃を持った兵隊が周りを固め、舞台中央奥に金属探知器のようなゲートを配置し、舞台の隅には監視カメラが回ってます。黒服黒帽子と軍服と背広姿の群集が現れ、最後にエジプト王が背広姿で登場しました。
黒服黒帽子のいでたちからからすると、彼らはユダヤ教の司祭のようで、どうやら舞台は現代のイスラエルであり、戦争の相手はパレスチナ!という構図が浮かんできました。実際、2幕で登場したアモナスロはカーキ色の軍服を身にまっとっていて、捕虜も同じようないでたちでした。
それなら、アイーダも現代的にすればいいように思うのですが、残念ながら彼女だけは伝統的な服装でした。
こんな演出ですから、2幕の凱旋の場面も祝勝会で、正装とドレスのカップルと将校がたくさん登場し、戦利品の金塊を持った行列が出てきました。こちらもタンホイザーの1幕と同様バレーはなし。3幕も舞台後方に巨大な風力発電機が配置され、これが出てきたときには観客席から拍手が沸き起こりました。そう言えばワニも歩いていたなあ(^^;
歌手陣はラダメスは既に述べましたが、その他もみなほんとにすばらしい。アイーダのCRIDERは可憐な感じがよく出てましたし、アムネリスの SIPPOLAも力強い。ランフィスのRYDLも冷淡な雰囲気がよかった。あえて言えばエジプト王がちょっとふらついていた程度で、申し分なし。あと、ちょっと関係ないですがラダメスのJOHANNSONは声を出す前に喉を整えていたのか、舌をだしてげっぷのようなしぐさをしていたのは、若干興ざめですが、あのような声を聞かせてくれるのでしたらまあ仕方ないですかね。
一方、オケはやはりこのオペラには重厚すぎるようで、多少の違和感はありましたがかなり押さえていて、歌手のよさを引き立てることに徹していたように思えました。
4幕は、途中から舞台が持ち上がり、牢獄が金塊を入れた金庫になってました。これはちょっと無理があるような感じでしたが、それ以外は演出は刺激的で面白かったし、歌手陣の素晴らしさで大満足でした。ほんとにこの劇場はレベルが非常に高い。次にヨーロッパに行くときも行ってしまいそうです。