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ヴィーン国立歌劇場公演
 《ニュルンベルグのマイスタージンガー》 2/2

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 舞台は舞台前面が教会の入り口の広場、舞台中央のアーチ型の入り口の向こうに教会の内部があり、合唱団とエヴァが座ってミサを合唱してました。装置はくすんだ色使いで、写実的で伝統的。ドレスデンで刺激的な(変な?)演出ばかり見てきたので、ウィーンの保守的な面を強く感じてしまいました。


 1幕の後半で役者が全部そろってきところで、歌手の調子ですが、やはりWEIKLのザックスは最高で、やわらかくあたたかい声で朗々と歌ってました。ベックメッサーのHORNIKも神経質な感じがよく出ていましたし、ポーグナーのWIMBERGER、ダービッドのSCHADE、エヴァのPIECZONKA マグダレーネのBOENIGもなかなか。ただ、ワルターのSMITHが弱いのがちょっと不安です。


 一方、オケの方ですが1幕が進むにつれてオケの調子もよくなり、あの艶かしい音を聴けるようになりました。これを聴いているとやっぱりウィーンもいいなあと、態度がコロッと変わる(^^; でも実際、1幕の後半以降はすばらしい演奏を聴かせてくれました。オケが指揮者になれたのかな?


 この調子で2幕を終わり、いよいよ3幕です。前奏曲はゆっくりめで丹念に演奏し雰囲気が最高!そのちょっと後の「迷いのモノローグ」もすばらしかった。また装置ですが、2幕、3幕前半もくすんだ色使いの装置で色彩に乏しいなと思っていたのですが、歌合戦の場になると一転して鮮やかな色彩に包まれました。


 この場面をより際立たせるために1,2幕をくすんだ舞台にしたのかもしれません。舞台の両側に観覧席が向き合って配置され、舞台中央奥には鮮やかな緑の平原が広がっていました。


 踊りの後にマイスターたちが入場しましたが、ベックメッサーだけが遅れて入場するなど、なかなか芸が細かい。優勝の歌はやはりちょっとインパクトが足りないですが、その後のWEIKLの歌以降はこのオペラを聴く喜びを存分に味あわせてもらいました。やっぱりワーグナーはいいなあ!


 17時に始まって終わったのは22時30分でしたが、なんかあっという間の5時間半でした。始めはドレスデンのよさに比較して何かもう一つ足りないものを感じていましたが、やはり天下のウィーン国立歌劇場です。十分に堪能させてもらいました。

 
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