ヴィーン国立歌劇場公演《リエンツィ》 3/3
そして、5幕で民衆がバラバラになって火を付けたり宮殿を壊したりして、民衆の団結が完全に壊れ、さらにリエンツィとイレーネが死んだあとはこの民衆が、教会勢力に変装したコリアーノとオルシーニの貴族に叩きのめされて幕が下ります。団結せざる民衆は衆愚であることを示すかのようです。
2幕まではなぜこんな見てて恥ずかしくなるような演出をするのだろうという疑問で一杯で、こりゃあブーイングの嵐になるのも仕方がないと思いましたが、終わってみるとすべては計算どおりに進めた結果でその効果も十分納得できるものでした。民衆が合わない踊りをするのも練習が少ないというのではなく本当に強い団結をしてないことを示しているのだとすら思うようになりました。
わざと不細工な演出をして印象づけ、そこから民衆が変わっていく様をわかりやすく明確に示している演出という感じでしょうか。そして、やはりブーイングが出るのを楽しんでいるのでしょうね。ウィーンでは60数年ぶりの上演ですからこのような刺激的な演出がやりやすかったのかもしれません。
さて、歌手の方ですが、JERUSALEMは声は出ているのですがずっと不安定でいつ声が出なくなるかとはらはらしましたがなんとか最後まで持ちました。あとはアドリアーノ役のHINTERMEIERがよかったですね。 しかしワーグナーでズボン役が出てくるというのはちょっと違和感が(^^; 他の歌手も大体よく、少なくとも歌手の面では満足です。
音楽は、序曲以外は初めて聴いたのですが、私にはワーグナーとは思えないです。とある本には「マイアベーアの最高傑作と皮肉られる」とありまして、こちらの方にはなんとなく納得してしましました。
オケは全体的にはまあまあよかったのではないでしょうか。カーテンコールで指揮者が出てきてオーケストラのメンバーを立たせるときのDUNSHIRNはとても初々しかったです。
全体的にはスキャンダラスな話題になる舞台もさすがウィーンというところでしょうか。