ヴィーン国立歌劇場公演《リエンツィ》 2/3
次に、2幕2場では舞台中央上方に大きなRの文字(ドイツ文字)を掲げ、同じ文字を胸に書いたユニホームを着て背中に白いマントを被った女性たちがハトのデコイを持ち、ローマ民衆の代表と話をしているリエンツィの周りでゆっくりとした踊りをしてます。
その後、護民官を祝う祝典で古代ローマの貞女ルクレチアの陵辱をテーマとするバレーの場面は、陵辱の場面を赤裸々に描くスライドの上映で、陵辱の場面や自殺し血だらけになった場面も映し出されました。
上演が終わるとさらに、背番号を付けた10組近くのカップルが現れてダンスを踊り始め、その周りで騎士が踊りを審査し一組づつ踊りを止めさせていくいわゆるダンスコンテストになりました。
最優秀カップルが選ばれリエンツィの前で踊らせると、青い服を着た子供や女性が大量に出てきて整列し雑誌などでおなじみのチアガールの姿で踊る場面になります。
ここまでは見てて赤面してしまう場面の連続。2幕終了時ではブーが出ましたが、一人だけ。もっと出てもいいと思いますが、どうやら今日の観客はおとなしいようです。
休憩後3,4,5幕が途切れることなく連続して上演されましたが、ここで2幕の赤面する演出の意味が明らかになったように思いました。
まず、貴族とまた戦おうとリエンツィが民衆に言うところでは民衆は1幕のようには踊らず、既に団結が壊れかけていることを示していたようです。また、貴族との激しい戦いで多くの犠牲者が出てたくさんの死者が黒いビニール袋に包まれて運ばれてきた場面では、先に出てきたチアガールが皆血まみれのボロボロで現われ、子供たちも死体に取り付き悲しんでいて、さっきまであんなに元気ではつらつとしていたチアガールたちがこんなになるまで疲弊し、厳しい戦いだったことを強く印象づけていました。