ボローニャ歌劇場びわ湖公演《フェドーラ》 4/4
休憩後、最後の第3幕です。第2幕の時とは違ってすんなりと始まりました。舞台上の柱はそのまま残り、今度は左側はテラスで、右側はその前庭、背景にはアルプスの山が見えます。登場人物はみなリゾートで過ごすラフな格好で、幕毎の場面の変化もこのオペラの大きな楽しみですね。
第3幕では、初めの二重唱も良かったですが、フェドーラ、オルガ、デ・シリュの三重唱も軽快で楽しかった。そして、デ・シリュがロシアでの出来事を語りはじめると音楽も暗くなって一気に雰囲気が変わりました。
そして、いよいよ最後の場面です。ロリスが再び現れ、二重唱が始まりますが、ここでは、クーラはロリスの喜び、嘆き、怒りと転々と変わる感情をその歌唱で見事に表現していました。ですが、対するフレーニの表現力はクーラ以上です。これまでの愛情に満たされた喜びから自分のやったことに対する不安、そして許しを請う姿を感情があふれんばかりに体現してくれました。
そしてフェドーラが毒薬を飲むとクーラはそれを後悔し、嘆き悲しみ、やがてフェドーラが事切れて幕となります。最後の音が鳴り終わるまで誰も拍手をせず、音が途切れたとたん凄まじい拍手とブラボー! 私も、耐え切れず何度か叫んでしまいました(^^;フレーニとクーラが2人で舞台に出ると、もう会場は総立ちでみんな大満足だった様です。なお、最後に2人で出てきた時は、途中からクーラが引っ込み、フレーニを立てることを忘れませんでした。
それにしても、この公演はこれ以上望めないほど充実したすばらしい舞台でした。指揮は音楽を雄弁に物語っていましたし、オケの音もすばらしい。舞台装置も幕毎に多彩な情景を楽しめました。しかし、何よりもフレーニとクーラという人を得たことが一番の要因でしょう。クーラは昨日と違って、情感を込めた丁寧な歌い方で迫力も抜群!文句無しの大テノールであると感じました。フレーニはそれ以上で劇的な歌唱で役の感情表現もすばらしく、お年を召してもさすがフレーニです。このオペラはやっぱりフェドーラ役を楽しむもので、劇的な歌唱に加え、豊かな表現力が必要ですので、この役をフレーニで聴けたことに感謝感激です。一部高音を出さなかったことなんて、小さなことです。もう、最高でした。
大変楽しかった私の2日間のボローニャ歌劇場の公演もこれで終わりですが、最高に楽しめました。これまで海外も含め30回以上のオペラ公演に足を運びましたが、ここまでオペラの醍醐味を感じたことはなかったように思います。こりゃ、たまりませんわ(^^;;;