ボローニャ歌劇場びわ湖公演《フェドーラ》 3/4
第2幕は休憩時間が終わってオケが音あわせを終えてもなかなか暗くならず、何かあったかな?結局そのまま5~10分くらい待たされてやっと真っ暗になり指揮者が現れて2幕の始まりです。
前奏曲の開始と共に幕が上がると早速舞踏会です。舞台は黒い柱と窓はそのままで花や植物が置かれていますが、内装そのものはがずいぶんと落ち着いた感じになりました。舞台上には皆さんおそろいで、前奏曲の間は一人の給仕を除いて動かず、前奏曲が終わると同時にみな踊り出しました。なかなか芸が細かい。
皆が軽く歌ったのち、デ・シリューのコザックの歌ですが、やはりこの人はもう一つ。声はいいけど言葉がクリアでないのでどうしても印象が悪くなります。対するオルガは声も動きもコケティッシュでいい。
そして、いよいよロリスの「愛さずにいられないこの思い」。ここでクーラはの本領を発揮しました。昨日のトウリッドでは荒っぽさが感じられたクーラですが、今日は凄く丁寧に歌っています。もちろん迫力は昨日と一緒ですが、一言一言を大事に歌っているように感じました。じっと聴いてますと、ドミンゴとカレーラスの中間という感じで、これならすでに3大テノールと肩を並べていると言っても過言ではないでしょう。歌い終わると会場は大いに沸きました。告白の場面もこれに劣らずよかった。ピアノの伴奏もオペラでは新鮮な印象です。
ロリスが証拠を取りに戻り、舞踏会も皇帝暗殺の知らせが入ってお開きになり、フェドーラが一人残されて手紙を書きますが、このときロリスの「愛さずにいられないこの思い」のメロディーが流れると、フェドーラが手紙を書くのをやめて立ち上がり、思いつめた表情であらぬ方向を見つめます。すでに、ロリスが単なる仇ではなく何故か引き付けられる存在になっていることが、音楽とフレーニの演技で強く感じられて、ジーンときました。
そして、第2幕最後の二重唱。まず、フレーニが最初に叫ぶ「ロリス・イパノフ!」と言う言葉で顔面へ声の直撃を受け、それ以降は、もう、クーラとフレーニの戦いです。激しいやり取りは息も付かせず、舞台に釘付けになりました。そして、真実が明かされ、フェドーラは絶叫しあとは2人の激しい世界が幕が下りるまで繰り広げられる・・・
幕が下りるとブラボーの嵐、気がつくと私の体はカチカチになってました。それにしても凄かったです。日本におけるオペラ上演史上に残る名場面といえるのではないでしょうか。
ただ一つ残念だったのは、すべてが明らかになった時にフェドーラが最高音で叫ぶところで、フレーニは音を下げて歌いました。これはお年のせいか、調子が悪いのか、よくはわかりませんが、もしかしたら、第2幕の開始が遅れたのは、この部分を最後まで調整していたためだったのかもしれません。もしそうなら、東京ではちゃんと歌えるでしょうね。