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新国立劇場《椿姫》 2/2

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 ロベルト・サッカのアルフレッドは、第一幕では声の質に違和感を感じもうひとつかなと思いましたが、第二幕以降では慣れたのか違和感が減りました。


 ラード・アタネッリの父ジェルモンは、安定した歌唱で、力強く、安心して聴けました。安定したバス・バリトンは私好みです。


 他の歌手も問題なく、合唱も良くて、管弦楽も、時々、緊張感の漂う弦の弱音に、無神経な木管の音が大きく響くことはありましたが、まあ、十分な音楽を聞かせてくれました。多分上岡さんの指揮が細部まで十分気を使って演奏をしてくれたからでしょう。


 でも、私はこの舞台を十分楽しむことができませんでした。


 その大きな理由は、演出の凡庸さです。驚きも、感激も、新しい発見も、新鮮さも、この舞台にはまったくありませんでした。音楽がこれだけ充実しているのに、見ているのがあほらしくて途中で帰ろうかと思ったのは、私には今回が初めての経験です。いっそうのこと、このメンバーで演奏会形式で後援してくれたほうがまだましでした。

 いまだにこんな舞台で満足している劇場があるなんて私には信じられません。もちろん、初めてのオペラ鑑賞で「オペラってこんなに豪華なのね」と思う人がいて、それでオペラにのめりこんでくれたらいいのかもしれませんけどね。初めてじゃない人はどうしたらいいのでしょうか?


 まあ、初めての人に来て欲しいからこんな舞台をやるのでしょうね。若杉さんも確か、オペラ人口を増やしたい、というようなことをおっしゃっていたような記憶が。


 となると、私のようなものは、あまり新国立劇場に期待しないほうがいいのでしょうね。今回の公演で、少し分かったような気がします。


#もしかして皆さんはとっくにご存知でしたか?

 
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