パリ国立オペラ来日公演
デュカス作曲 歌劇《アリアーヌと青ひげ》2/2
さて、オペラですが、オケは重い音楽を重く演奏し、声も重い。音楽は総じてきわめて重く、これが最初から最後まで続く。音楽の緊張感もきわめて高く、体に力が入りっぱなしでした。カンブルランの指揮が必ずしも最高級とはいえないオケを引っ張っていた印象です。
歌手も見事。ポラスキは少しかすれるところもありましたが、 乳母のヘンシェルがポラスキを超える力強い歌唱。その他の先妻たちも、時にか弱く、時に強く歌います。おけも雄弁ですが、歌手の歌が途切れることなく、 字幕を追うのも必死でした。
やっぱりフランスのオペラはよくしゃべるのかな(^^
演出は、舞台上にあらかじめ6つの部屋がセットされ、アリアーヌが鍵を開けて次々に入っていくというもの。アリアーヌは帽子をかぶり、コートを羽織り、二眼レフのカメラを首からぶら下げています。これは、 20世紀初頭の探検家のいでたちで、青髭の城を探検して財宝を手にするというストーリーだと思いました。先妻の衣装もちょっと古めですよね。
(ただ、二眼レフカメラは1922年に発売されたカメラなので、もしかしたら、歴史的には、合致しないかもしれません)
でも、結果的には、財宝=先妻を青髭公の城から連れ出すことはできず、何も手にせずにアリアーヌは城を後にします。以上、演出も、ストーリにあった読み替えがあって、うまく考えられているのですが、問題は、重い重い音楽と、軽い演出が融合してなかったことではないかと思いました。演出の印象は軽いです。何故なら、部屋は白い壁と柱で構成され、棚とかテーブルの色彩も豊か。いろんな小道具もカラフル。
これらが、私に舞台を軽いものに印象付けるのです。
その軽い演出の印象と音楽の重い印象とがまったく合わない。 そこにこの舞台に私が感じた違和感がありました。
とまあ、演出と演奏との違和感はありましたが、 このプロダクションは、大変見ごたえ聴き応えがありました。特に音楽がすごい。今回の来日公演では、見逃せないものだと思いました。