トリノ王立歌劇場 ヴェルディ 歌劇《椿姫》:KINUZABU-Music
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トリノ王立歌劇場 ヴェルディ 歌劇《椿姫》 2/3

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 第一幕はこの装置で始まり、ヴィオレッタを始めとするパーティの面々は華やかに着飾って舞台背面から現れた。ヴィオレッタは大きな声で奇声を上げて楽しんでいる。 そして乾杯の歌。ヴィオレッタもテノールも合唱もオケも素晴らしい。指揮者がオケをまくしたててスピード感と華やかさを加える。一方で、墓石の上でのパーティというのはヴィオレッタの死を予感させその対比が余計にこれからの悲しい結末を予感させる。とても複雑な気分。


 「花から花へ」の歌は、さすがのデセイもちょっと苦しい。でもしっかりと声を出していた。あれだけ舞台上を駆けまわるのに声質や声量が変わらないのが不思議。


 第二幕になって、舞台の上手側に草原の装飾がなされたが、墓石が一部突き出している。幸せな日々でも死の影は残っている。ここではやはり、ジョルジュ・ジェルモンのアリア。もう素晴らしいの一言。ナウリの声は格調高く会場に響き渡り、父親の思いを切々と訴える。ナウリの歌は何度か聴いたが、ここまで全力投球の歌を聴いたのはこれが初めてではないだろうか。 デセイもショックで倒れ、横になったまま歌い、それでも立っている時と全く同じ声。しかもヴィオレッタのアルフレッドと別れるせつない想いが伝わってくる感情がぎっしり詰まった歌唱。 でも、それで驚いていてはいけなかった。



 第二幕一場が終わって休憩で、休憩後の第二幕第二場。一場であった草原はなくなり、天井からシャンデリアが吊るされ、一部の墓石に光を反射する板が取り付けられている。 闘牛士の場面などの踊りは歌手が主として行ない、男女一組のダンサーがそれに華を添える。アルフレッド、ヴィオレッタ、ジョルジュが現れて、合唱とオケが盛り上げるけれど、皆ヴィオレッタを避けるように無視し、ヴィオレッタはパーティ会場をさまよい歩く。もう彼女は皆の仲間ではないんだ。第二幕最後は壮大に終了。 でも幕は閉じられず、そのまま第三幕が始まる。


 第三幕ではヴィオレッタは女性のパーティの参加者に囲まれてその中で病院着に着替えさせられる。その最中のヴィオレッタを取り巻く人達の動きの優美なことよ。どこかの国立劇場はしっかり見ておくこと!


 墓石はことごとく男性のパーティ参加者によって白いシーツが被せられて装置が病院に早変わり。その中の一つのベッドにヴィオレッタが寝かされる。アンニーナもグランヴィル博士も気のせいか墓守に見える。


 カーニヴァルの場面では第二幕二場で出てきた男女一組のダンサーが奇声をあげながら舞台上手から下手へ通りすぎていく。まるで第一幕最初のヴィオレッタが奇声を上げてはしゃいでいたように。ベッドに横たわっているヴィオレッタはあの頃の夢を見ているんだ。

 
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