フレンチ・オペラ・カンタータ:ドミニク・ヴィスのひとりオペラ
グルボワ カンタータ「ドン・キホーテ」
マレ 「パリ、サント・ジュヌヴィエーヴェ
・デュ・モンの鐘の音」
ラモー コンセール第5番
グランヴァル カンタータ「エフィソスの貴婦人」
コレット
コミック協奏曲第5番「女は大いに面倒の種だ」
カンタータ 「ラ・ソナート」
クルボワ カンタータ「ドン・キホーテ」より
サンチョ・パンサのエール
ドミニク・ヴィスが西宮の兵庫県立芸術文化センターで古楽の公演をすると言うので、大変楽しみにしていたコンサート。兵庫芸文は大ホールの音響は悪いが、小ホールは問題ない。
カフェ・ツィンマーマンはバイオリン二人、チェロ一人、ビオラダガンバ一人、フルート一人、バロックギター・リュート一人、チェンバロ・オルガンが一人の小さな編成。演奏が始まる前の調律が極めて綿密。一人ずつ丁寧に時間をかけて調律する。それもすべての曲の前で。それだけ神経質な楽器なのだろう。
最初のコレットはカフェ・ツィンマーマンの演奏。でも、バイオリンの音が半端なくでかく、フルートの音が聴こえない。演奏は悪くないけど、バランスが悪く、聴いていて少し疲れた。
でも、2曲目でヴィスが小さな自転車に乗って出てくると、会場の雰囲気が一変。コミカルな演技と七色の声を使い分ける技術。それに引き込まれるようにカフェ・ツインマーマンの演奏も美しくなる。
ドン・キホーテの堅苦しい歌と演技の後に、サンチョ・パンサの酔いどれ歌が楽しい。カフェ・ツィンマーマンの女性フルート奏者にもちょっかいかけている。やっぱりヴィスは芸達者だ。
休憩を挟んで続く、マレ、ラモーのカフェ・ツィンマーマンの3重奏はどれもきわめて美しく、一際高い技術に裏打ちされた、すばらしい音楽になった。
グランヴァルのカンタータは一人で5役。フランス語が分からないのが残念だが、語り手、貴婦人、次女、兵士、死んだ夫を手を変え品を変え、服と小道具を使ってコミカルに歌い、役を分けるのがわかる。特に貴婦人と兵士のやり取りが面白かった。
コレットの器楽もカフェ・ツィンマーマンの演奏だが、フルート協奏曲。フルートの素朴な音が大変好ましい。このフルートの女性、ピンヒールのハイヒールを履いて、立ってフルートを吹いていた。気合の入った女性は違うな。
そして最後にガルドのカンタータ「ラ・ソナート」。このカンタータは音楽のリハーサルをモチーフにしているそうだ。団員が一旦引き上げてから、わいわいいいながら入場。新聞を読みながらの人もいる。そしてヴィスの登場。髪型がお茶の水博士だ!ヴィスは歌いながら指揮をするが、演奏をわざと間違えて、そのたびに指揮棒を放り投げる。そして指揮台から新しい大きな指揮棒を出す。最後にはむっちゃでかい木の棒になり、大笑い。
アンコールは、「ドン・キホーテ」のサンチョ・パンサの歌。素朴で楽しい歌。
ヴィスとカフェ・ツィンマーマンは極めて高度な技をさらりとやってのける。いや凄いわ。たくさん元気をもらいました。やっぱり、一流の音楽、舞台はいいな。少しでも多くの質の高い公演に触れたいと改めて思った。
でも、フランス語が分かればもっと楽しかっただろうな。