Basta Basta演奏会
エクマリャン 《聖なるかな》
プーランク 《今日キリストがお生まれになった》
イマント 《めでたし、まことのお体》
ブスト 《ほめたたえよ、しもべたちよ》
2.ロマン派
ブラームス
《なぜ、光が苦しむものに与えられるのでしょう》
ブラームス
《おお、救い主よ、天を開いてください》
3.バロック
バンキエーリ
《ヴェネツィアからパドヴァへのゆかいな船旅》
Basta Bastaというアマチュアの合唱団が兵庫県立芸術文化センター小ホールで演奏会をするというので行ってきた。
きっかけは知り合いから誘われたというのもあるが、後半にバンキエーリの《ヴェネチアからパドバへのゆかいな船旅》というバロックの曲があり、面白そうだと思ったからいくことにした。
客は8割程度の入り。出演者の関係者が多いんだろう。幼児も入場可なので、子供を連れた家族ずれも多い。
プログラムは、1.現代曲、2,ロマン派、3.バロックという組みあわせで、1の現代曲は静→動→静→動と曲を構成しているという説明があった。。
一曲目のエクマリャンは1857年生まれのアルメニアの作曲家だそうだ。この曲はリズムはゆっくりと静かだが、何か内に秘めたエネルギーを感じた。
二曲目のプーランクは、テンポも速くかなり派手に響かせる動の曲。
三曲目の作曲家ラミンシュは1943年にラトビアで生まれたそうだが、1948年にカナダに移住しており旧ソ連とは関係なさそうだ。奇をてらわず静かな祈りの曲だった、
四曲目のブストは1948年にスペインのバスク地方に生まれたそうだが、こちらは激しい動の曲。
説明にもあったが、確かに静と動、いろいろな祈りの形態があるんだなと思った。ヴェルディのレクイエムなんて、死者を叩き起こすようなティンパニの連打が続くことを思えば、理解できる。
合唱も傷がないわけではないが、美しいハーモニーを聴かせてくれた。ただ合唱の発音が日本語っぽいところが、アマチュアかなと思った。アルメニア語は仕方ないにしても、ラテン語の発音は何とかしたほうがいいのではないだろうか。
2部のブラームスは、まあこんなもんだろうな。曲自体私には退屈だから、眠りそうになった。ただ、この歌詞はドイツ語だが、この曲では合唱団の発音に違和感を感じなかった。ドイツ語には慣れているのかな?
3部の《ヴェネツィアからパドヴァへのゆかいな船旅》は大変面白かった。
ヴェネツィアから船に乗り、船内でいろいろあって、パドヴァに到着するまでを描いた歌だが、これに振付をして楽しましませてくれた。バロックギター、ヴィオラ・ダ・ガンバ、ハープ、クルムホルンの伴奏も付く。合唱団員も各自様々な衣装を着けて船の乗客となり、物語に合わせていろんな歌を歌う。ソロだったり、デュエットだったり。それに合唱も加わって、楽しい舞台だった。
でも、やっぱり音楽自体が大変楽しい。バンキエッリのバロックの楽しい音楽が場を盛り上げてくれる。そして美しい合唱。気持ちがいい時間が続く。
ここで気になったのは、合唱は美しいのだが、団員がソロを歌うと、たちまちソロの質が落ちてしまうこと。団員の中には、もう少し頑張ってヴォイストレーナーをつけて、腹筋を鍛えたら、いい歌を歌えるんじゃないか、と思える人が何人かいた。もったいないが、アマチュアだから仕方ないかな。
あまり期待せずに行った演奏会だったが、後半のバロックは大変楽しめた。合唱団や伴奏者の苦労の賜物だろう。公営のホールはこういう質の高いアマチュアに公演の場を与えて、しっかり支えていくべきなんだろうなと、思った。まあ、そうした団体を探すのも大変なのだろうが。