関西フィル第235回定期演奏会
吉松隆 朱鷺にささげる哀歌
シベリウス 交響曲第7番
久しぶりに関西フィルの定期演奏会に行った。
今回は何と言ってもシベリウスに尽きる。入魂のシベリウス。渾身の力をみなぎらせ、美しく、そしてはかない。関西フィルは弦が厚い。その厚みを存分に生かして金管との対比が素晴らしい。これで木管がもう少し強ければいうことはないのだが。
最初は少し早いな、もっとゆっくりやってほしいと思ったが、後半はじっくり激しく力強くそれでいて抒情的にはかない色を濃く出した演奏してくれた。これだけの演奏を聴けたらもう大満足。最高の一夜だった。
吉松隆もよかった。弦5部とピアノだけの曲。初めは弦がグロテスク、かつまとまりのない音楽が続くが、そこでピアノの音がピーンと美しく響き、その響きに驚愕した。ピアノの音ってこんなにきれいなんだ。
そこからはピアノの音との掛け合いで弦も少しづつまとまり、グロテスクな音の中にきれないな音が混じってはっとさせられたり、同じメロディを時間ずらして何回も繰り返すところも美しかった。美しいピアノとグロテスクな弦のハーモニー。とても面白く、美しさはグロテスクなもの中にあって光輝くことを実感した。とてもいい曲だった。
でも、最初のブラームスは失望。演奏が悪くはないのだろうが、あまりにも普通すぎてルーチンワークのようで面白くない。ピアノも音が大きいのは迫力があっていいけれど、弱音の音の濁りが気になって、楽しめなかった。
とまあ、前半は、楽しめなかったけれど、後半は大変良かった。特にシベリウス7番!この曲をあれだけの演奏で聞けたのは本当に良かった。関西フィルはこれから年に一度定期演奏会でシベリウスを取り上げるそうなので、行けるときがあれば聴きに行きたいものだ。