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1986年の中国旅行 6/11

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5.西寧と青海湖


 西寧についてまず行ったのは、西寧市街からバスで30分ほどのチベット仏教寺院である。チベット仏教では聖地のひとつらしい。山間にあるこの寺院には雪も残っていた。


 中に入ると、赤い柱に金ぴかの仏像と色とりどりの曼荼羅図。建物は金ぴかのマニ車で囲まれているし、この仏教は金が好きなんだなと思った。山間の静かな空気を吸って、気持ちよかった。


 半日ほど滞在して、ホテルへ戻ると、日本人3人組のグループがいた。彼らが、「青海湖へ一緒に行きませんか?」と言ってくるので、どういうことかと尋ねたら、3人で中国国営旅行社に青海湖へのツアーを聞いたら、1台の車で行くので、3人より4人のほうが安く済むと言われたらしい。そこで1人の私に声がかかったわけである。私も行きたかったのでOKしたが、金額がちょっと高かった。外貨兌換券で支払いというのもつらい。


 翌日三菱のランサーで運転手つきで一泊二日の旅に出発。青海湖の標高は3200m。高所でも日本車はびゅんびゅん飛ばしていく。途中、チベット族が放牧しているところに案内してくれた。チベット族の人たちと写真を撮って、広い草原の眺めを堪能してから、青海湖へ。湖畔は小石が散乱し、周りもヤクはいるけれど余り草が生えているようには見えない荒涼な平原。


 青海湖を眺めた後、今日泊まる招待所へ。ここでの食事が大変すばらしく、美味しくて満足した。青海湖の名物の魚が、西寧では食べられなかったのが、ここでは一杯ある。外国人対象となると待遇が違うんだなと思った。


 このあと、疲れたので部屋に行きベッドに横になると、心臓がどきどきして耳が痛くなった。高山病である。水を飲んだり、湖岸を散歩したりしてみたが、心臓のどきどきは一向に治らず、ほとんど眠れない一夜を過ごした。


 翌日になっても状況は変わらず、それでも観光は続行。チベット族の家を訪問して、中を見せてもらった。ヤクの糞を燃料にしていると言うのは本当のようだ。肉の煮物をしていた。


チベット族の家


 また、チベット族の聖地にも案内してもらった。チベット語の書かれたたくさんの石や旗があり、旗は風にひらめいていた。ここの標高は3500mである。私の高山病はもっとひどくなった。


 そしてやっと西寧に戻った。西寧は標高2500mであるが、これまでのつらさがスーと引いた。なにもなかったように気分がよくなった。高山病の一番よい治療法は標高を下げることだと言われるが、確かにそうだった、少なくとも私にとっては。そして以後もっと高いところにも行くが、高山病は起きなかった。

 
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