ヴィーン国立歌劇場公演《パルシファル》 2/3
前奏曲は遅めでじっくり振ってました。若干もたもたした感じもありますが聴いていて嫌になるほどではありません。幕が開いてモンサルバートの森が現れるとグルネマンツのRYDLが深い歌声で迎えてくれます。席が前の方なので人物がよく見えたのですが、パルシファルのELMINGは立派な体格で、彼に比べるとクンドリーのMEIERは本当にきゃしゃで小さく見えます。
場面転換の音楽になり森から聖堂に変わりますが、照明がおちて暗い舞台上で装置が動くのがうっすらと見えます。まず森の舞台がはるか後ろに下がり、最深部に光が当たり十字架が浮かび上がります。そして、舞台前面中央部に大きな十字架が舞台下から上がってきて、転換の終了です。
引越し公演のときもちょっと見えていたように思いますが、十字架の出方が舞台下から出てきたように思います。絶対、ヴィーンのほうがいい。大きな奥舞台をもっているからできる演出なんでしょうけどね。
騎士の合唱はなかなかよく、それに続くティトレルのFINKの歌はすばらしい声で始まったのに対し、アンフォルタスのPEDERSONはかなり弱く、こちらは欲求不満です。オケはゆっくりめでまあまあ。合唱に対する指揮はきっちり合図を出していて、ちょっとずれてもすぐに修正されていました。
そうして1幕が終わり幕が閉じると拍手がちょっと出ましたが、”シーッ”の声が出てすぐに消え、結局拍手はなく休憩に入りました。ウィーンでも拍手をしないという伝統は守られているのですね。
続く2幕ですが、グリングゾルのHORNIKは先日のベックメッサーのときと違い、いやらしい声で性格の違いをうまく出していました。ですがMEIERが歌い出すと圧倒的な存在感で覆われ影が薄くなってしまいました。