新国立劇場 R.シュトラウス 歌劇《影のない女》 2/3
問題は演出。皇后、皇帝の世界と人間界を本来垂直な関係を水平に持ってきて舞台装置を場面ごとに前後に入れ替えるもの。 入れ替えは黒子の手で行い、場面転換も幕を下ろさず、全て観客に見せる。 装置は、手前に斜めの台があり、下から光の当てられたガラスが埋め込まれている。 皇帝、皇后の世界では、石を詰めた縦長の箱を組み合わせて表現する。 人間界では板で作った家並を台の後ろに密着させるが、そうすると、家の玄関、窓と相対する位置に斜めの台のガラスがあることがわかる。
演出等の問題点は軽いものをあげると以下。
1.歌っているときにも場面転換をする
歌手が歌っているのに、背景がざわついて歌に集中できない。
2.場面転換の装置の動き
動きがばらばらで、見た目が悪い。歌手が統制された所作をしているだけに動きの悪さが目立つ。
3.手前の斜めの台のガラスの意味
家並みとそろえているから何か仕掛けがあるのかなとワクワクしていたが、何もなかった。拍子抜け。
4.人間界の建物の中身
素のベニア板なんて余りに工夫がない。汚すとかすべきことがあるはず。また、屋根を倒すためのダンパが丸見えなのも興ざめ。
5.人間界と皇帝皇后界と区分け
皇帝が「人間の臭い」が嫌いなぐらいなのに、皇帝皇后界の場面で遠くに人間界の世界が見えるのは納得がいかない。
6.場面転換の黒子の動き
演出とは関係ないが、黒子の舞台上でのマナーが悪く、舞台横の椅子に座っている時に顔を掻いたりして動いている。
舞台の上にいることを忘れないで欲しい。
しかし、これらは我慢できない話ではないので、そんなに悪いとは思わなかった。演奏や歌手がすばらしいのでR.シュトラウスの世界に どっぷり浸かって気持ちいいほどだった。