ラ・フォル・ジュルネ@びわ湖
上原彩子
アンネ・ケフェレック
ラ・フォルジュルネ・ジャポンのびわ湖公演に行った。
びわ湖ホールでは3回目だが、私は今回が初めて。どんな催しなんだろうと思ったら、昼間はすごい人でごった返し、いろんな屋台も出て、見たところ家族連れで休日を楽しむイベントという感じ。クラシックをキーとしたお祭りですね。
さて、私は2日を通して、4つの公演を聴いた。その感想をかきます。
29-L-1
Pf.ボリス・ベレゾフスキー
指揮:ドミトリー・リス
管弦楽:ウラルフィルハーモニー管弦楽団
曲目:チャイコフスキー くるみ割り人形から
ラフマニノフ ピアノ協奏曲第二番
前半のチャイコフスキーは、指揮にはキレがあったが、オケはあまり印象に残らなかった。ルーチンでやっているようで気合いを感じることはなかった。
ところが、ベレゾフスキーが出てきたラフマニノフは全く変わった。まず、ベレゾフスキーのピアノの音の太さと、大きさに圧倒され、それでいて光り輝く音色にめろめろ。なんだこの人のピアノは!
そして、オケもピアノに負けじと、弦も唸るし、金管も咆哮する。前半のチャイコは何だっただと思うほど気合が入っていた。ピアノとオケが被るところは、普通音量を下げるだろうに、ガンガン鳴らして、ピアノをあおる。そしてベレゾフスキーは挑発に負けないすごく大きな音を出す。丁々発止とはまさにこのことだろう。
オケとピアノの真剣勝負。ラフマニノフのPコン2番といったら、美しいメロディにうっとりする曲のはずなのに、この力強さと迫力は何なんだ?いったい何を聴きに来たのかわからなくなったけど、すごい体験ができたことはわかった。
協奏曲というより、ピアノ対オケの力比べを聴いたように思った。むっちゃ刺激的な音楽だった。
29-L-3
Pf.上原彩子
指揮:ドミトリー・リス
管弦楽:ウラルフィルハーモニー管弦楽団
曲目:リムスキー・コルサコフ 「ロシアの復活祭」序曲
ラフマニノフ ピアノ協奏曲第三番
前半のリムスキー・コルサコフは、今となってはあまり覚えてない。それは後半が凄かったから。
後半のラフマニノフのpコンがすばらしかった。今回はオケはピアノのサポートに徹し、ピアノが非常に目立った。上原彩子は渾身のピアノで大迫力のラフマニノフを演奏した。ほとんど中腰だったのではないか。強く大きな音だが、美しく、かつ柔らかさをもつ音。オケがサポートに徹していたので、この緊張感の強い美しいピアノの音をじっくり楽しむことができた。
酔うといっても力強いので、こちらも緊張感で一杯。終了した時の上原彩子はもう放心状態。大変だったんだろうな。それほど力を使い切った渾身の演奏だった。
それしても、ラフマニノフのピアノはやっぱりいいねえ。これまであまり家で着ことはなかったけれど、こんな刺激的な演奏ならいいかな。
30-S-1
Pf.アンネ・ケフェレック
昨日、美しい音でピアノを聴いたためか、この人のピアノの音の濁りに耳がいった。でもそのうち気にならなくなり、テクニックの素晴らしさに舌を巻いた。特にチャイコフスキーでは音の強弱のつけかたが激しくて、気持ちよかった。ピアニストとしては中の上かな。何でもできるオールラウンドプレイヤーなんだろうな。
30-M-2
Pf.ボリス・ベレゾフスキー
ラフマニノフのピアノソナタ1番は圧巻だった。あの大きく太くかつ美しい音でガンガン行く。ラフマニノフって何?俺は俺の道を行く、という感じの力強さ満点のピアノ。この力強さの中にキラッと光る小さな音に心がキュンとなる。これだけ鍵盤を打ち鳴らしてどうしてこんなきれいな音を出せるのだろうかと本当に不思議に思う。
そのあとは軽い曲。ラフマニノフみたいに強打はほとんどないが、その分美しい音が際立つ。とくにラフマニノフ編曲のクライスラーの愛のあいさつは、美しかったなあ。アンコールも細かな音も出すしコントロールの効いた細かなテクニックを示した、強打だけではないが、やっぱり太い音は変わらなかった。りラフマニノフの力強く美しい音が彼の本領で、それが耳から離れない。すごいピアニストだわ。