兵庫芸術文化センター管弦楽団第52回演奏会
先週、金聖響指揮兵庫芸文オケの第52回定期演奏会でマーラー交響曲第7番を聴いてきた。会場は兵庫芸術文化センター。
舞台の楽器配置を見て、想像通りだなと思った。弦が14-6と少なめなのに、木管は4管、金管もトランペット3本、トロンボーンも3本、テノールホルン、チューバ、ハープに打楽器多数。この配分でどんな演奏をするのか、お手並み拝見。
音楽が始まって、最初に思ったのは、弦とその他とのバランスをとっていることである。弦を利かすところでは、その他の楽器群の音量を小さくして弦の音をつぶさない。逆に弦を強調する必要のないところは、その他の木管金管打楽器を容赦なく鳴らす。まるで弦楽のための協奏曲である。
弦楽器と管楽器のせめぎあいというマーラーの面白さに関しては、残念ながらあきらめざるを得ないが、といって決して悪い演奏ではないと思った。マーラーの交響曲にある複雑な響きの中にある特有の音楽の流れを感じることができた。
また、結構上手。弦を利かすところで他の音量を下げているのはなかなか成功しているし、全体で咆哮するところでは、迫力満点。うまくまとめていたと思う。最後のしめくくりの迫力は最高だった。
はっきり言って、ここのオケでマーラーの第7交響曲を聴いて大丈夫かなと思っていた。もとの楽団員が少ないから、エキストラで固めていると予想し、そんなバラバラな人たちで演奏するんだろうからまとめるのは大変だろう。実際、今日のプログラムでも、なんかいろいろな肩書はついているが、よそから連れてきた演奏者であふれている。
しかし、こんな集団のオケを指揮者の金聖響は大変うまくまとめていた。弦の少ない不利な状況の中でできる限るのことをしたと思う。弦と管のバランスに細心の注意を払いつつ、マーラーの複雑で壮大な世界を作り上げていた。もちろん、不満もあった。弦と管とのせめぎあいのようなマーラーならではの世界が弦重視の場合には失われてしまう。しかし、これも、やむを得ない選択だったのだろうと思う。
事前に思っていたよりも、大変いいマーラーを楽しめた。いい演奏会だったと思う。金聖響恐るべし。
ところで、今回の席は3階の2列のサイドよりだったのだが、大変いい音響で大満足だった。やっぱり、ここのホールは上の席の方が音がいいようだ。