クリスティアン・ティーレマン指揮ドレスデン国立歌劇場管弦楽団演奏会 京都コンサートホール ブラームス:KINUZABU-Music
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クリスティアン・ティーレマン指揮ドレスデン国立歌劇場管弦楽団演奏会

日時
2012年10月21日(日)14:00~16:00
会場
京都コンサートホール
 
 
指揮
クリスティアン・ティーレマン
管弦楽
ドレスデン国立歌劇場管弦楽団
 
 
曲目
ブラームス作曲
 交響曲第3番
 交響曲第1番
ワーグナー作曲
 歌劇「リエンツィ」序曲(アンコール)
パンフレット
 

京都コンサートホールでクスティアン・ティーレマン指揮、ドレスデン国立歌劇場管弦楽団のコンサートを聴いた。曲目はブラームスの交響曲3番と1番。

私は京都コンサートホール・大ホールでオーケストラを聴くときは舞台に近い席で聴くことにしている。一番好きなのは2階サイドだが、今回は平土間の6列目。

ブラームス3番は緩急があり、泣かせるところではじっくりと、疾走するところでは弦も追いつかないぐらいの躍動感にあふれていた。。第3楽章の美しいテーマでは、いやあ、ブラームスだねえ、と思った。

曲の流れはそんなものだが、弦の音が半端なかった。音が激流の様に押し寄せて、見る間に溺れてしまった。でもその感覚は大変エキサイティング。しかも美しさを全く損なうことがない。なんだこれは!弦!弦!弦!弦であふれるブラームス。金管もティンパニも音を抑えて弦の音をあらわにする。これぞ、ブラームスの王道!弦の音が極めて美しく厚いこのオケでこそ実現できたものだろう。弦を強調したティーレマンの指揮も素晴らしい。

後半の1番も同じ。ただ、ティンパニが3番より目立つ。でもこれは当たり前。1番も3番と同じように、緩急をつけ、弦の音を最大限に引き出す指揮だった。一つ大きく目立ったのは、第4楽章での有名なテーマを始める前に、休止をつけて、おもむろに第一バイオリンに向けてタクトを振ったこと。その後の音楽は美しさに満ちていた。「これからいきますよ、いいですね」と言っているかのよう。

3番にしても、1番にしても弦の激流に翻弄されて、もう、どうでもいいと思ってしまった。すごいブラームス。こんな体験はなかなかできないなあ。ティーレマンとこのオケの組み合わせは最高だ、と思っていたら、アンコールでぶっ飛んだ。

アンコールはワーグナーの「リエンツィ」序曲。金管、打楽器が咆哮するド迫力のワーグナー。ブラームスで抑えていた金管、打楽器がここぞとばかりその能力を最大限に発揮した。このオケの金管の美しさと迫力と正確さは肌に染みているはずなのだが、それを改めて実感した。もう、我を忘れて音の洪水に酔いしれた。もう体が硬直して緩まない。

今回の演奏会で、ティーレマンはこのオケの実力をいろんな面で見せてくれた。ブラームスでは弦の力を最大限に引き出し、このオケが持つ弦の美しさと迫力を存分に味あわせ、アンコールでは、金管、打楽器を含めた美しさと力強さをあらわにした。弦もすごいし、金管打楽器もすごいし、総合力でも他に比類のない大変素晴らしい信じられないくらいのオケなんだよ、と言いたかったのかもしれない。

それにしても、ティーレマンとドレスデン国立歌劇場管弦楽団の相性の良さは、凄い。もう、美しくて、力強くて、反応が良くて、金管が咆哮しても弦も負けない。どんなに音が大きくても小さくても、音の美しさは変わらない。いや、もう、参りました。またの来日をお待ちしております。というか、この組み合わせで、ワーグナーの楽劇を是非とも聴きたい、体感したいと思った演奏会だった。